宇宙大戦争 (昭和34年・1959)
![]() | 宇宙大戦争 丘美丈二郎 関沢新一 本多猪四郎 東宝 2004-10-29 |
地球は宇宙の塵と化すか?
月の裏側に展開する、宇宙人対地球軍の大激戦!
地球防衛軍と宇宙からの侵略者との攻防を描いた『地球防衛軍』(1957年)の続編ともいえる姉妹編。(1959年公開)
前作の地球上での宇宙人との戦闘から本作では青い地球を背景にした宇宙空間に戦いの場を移し、地球防衛軍の原子力ロケットと迫り来る敵円盤の宇宙戦をスピード感溢れる映像で表現。まだ現実的には人類が宇宙に進出していなかった時代に、アポロ11号の月面着陸成功後の常識から考えると実際の宇宙空間の表現や科学考証の上で大きな間違いは多々あったとはいえ、好奇心と想像力で宇宙空間での戦闘というものを映像化することに挑戦したのは素晴らしい創造力とアイディアを持っていた当時の東宝特撮ならではといえます。
*ソビエト連邦が初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたのが1957年10月4日。ユーリ・ガガーリンによる人類初の有人宇宙飛行は1961年4月12日。アポロ11号の月面着陸は1969年7月16日。
冒頭にも書いたように科学考証的には後に間違いとなってしまった事象も多く、例えば「絶対零度近くにまで冷やされた物体は無重量状態となる」という理論や「月面には一部に希薄な大気が存在する」といった学説を取り入れて制作されている為、現在ではリアリティに欠けた映像になってしまった部分がある上に、制作の進行と同時に尚より良い宇宙空間の表現を模索し続けたためか、結果として辻褄が合わなくなってしまっている場面もありますが、映画制作当時において未知の世界だった宇宙空間での物体の挙動等、当時理解されていた範囲内でのリアリティの追求、理解を超えた部分の想像力での補完、そして映画のほぼ全篇で物語の舞台となっている宇宙空間での戦闘シーンでの操演、光学合成など、当時の特撮映画のレベルとしては、という前提ではありますが見事の一言。後の『STAR WARS(スター・ウォーズ』(1977年)、『Independence Day(インデペンデンス・デイ
』(1996年)など、素晴らしいハリウッドのCG特撮を経た今日では見劣りせざるを得ないものの、特に伊福部昭の"宇宙大戦争マーチ"に乗せて展開される地球防衛軍の戦闘ロケット群とナタール円盤群の最後の決戦など、日本のSF特撮映画史上に残る名シーンが産み出されています。
映画公開当時(1959年)、ソビエト連邦やアメリカ合衆国のような有人宇宙飛行計画など夢のまた夢だった日本で、アポロ11号の月面着陸(1969年)より4年も前に(本作『宇宙大戦争』は1965年の設定)人類初の月面着陸に成功したのが日本人の勝宮一郎(池部良)と白石江津子(安西郷子)であったのはご愛嬌。また、月面での無重力状態を表現した歩行シーンのアイディアは土屋嘉男の発案によるもののようです。
[宇宙大戦争 - ストーリー]
1965年、地球の軌道上にある宇宙ステーションJSS-3が謎の円盤の攻撃を受けて破壊される。同じ頃、地球上でも世界各地で鉄橋や汽船が宙に浮き、凍りついた海水が舞い上がる等の不可解な怪奇現象が多発する。
急遽、国際会議が開かれて調査が行われ、各地での怪奇現象は重力を無くす事を可能にする冷却光線を操る"ナタール人"の仕業であることが判明する。ナタール人は既に月面に基地を建設し地球侵略の準備を進めていたのだった。
月面のナタール人基地を破壊するため、勝宮一郎博士(池部良)を始めとする科学者16人の精鋭によって編成された攻撃隊が2機の原子力ロケット"スピップ1号&2号"に乗り込み地球を飛び立った。月に到着した攻撃隊はナタール人の基地を発見し、直ちに攻撃を開始。探索車のビーム光線、そして全世界の科学者によるサミットで開発された熱線砲によりナタール基地に大打撃を与えることに成功する。
しかし、後一歩というところでナタール人に操られた岩村(土屋嘉男)がスピップ1号を爆破。一気に形勢は逆転し、劣勢となったスピップ2号にも危機が迫るが、熱線砲によってコントロール装置が破壊されたことによってナタール人からのコントロールが解けた岩村が命を懸けて追撃を食い止め、辛くもスピップ2号は月からの脱出に成功し、地球へと帰還する。
迫り来る決戦の時に向け、地球では総力を挙げて大気圏外でナタールの円盤を迎撃する対ナタール戦用の戦闘ロケットの建造が進められる。そして、遂にナタール円盤群が地球へ向かって来襲。宇宙空間で地球防衛軍の戦闘ロケット群とナタール円盤群の地球の命運を巡る壮絶な戦いが始まった。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・本多猪四郎
原作・・・・・・・・・・・・丘見丈二郎
脚本・・・・・・・・・・・・関沢新一
特技監督・・・・・・・・円谷英二
音楽・・・・・・・・・・・・伊福部昭
勝宮一郎・・・・・・・・池部良
白石江津子・・・・・・・安西郷子
安達博士・・・・・・・・千田是也
岩村幸一・・・・・・・・土屋嘉男
小暮技師・・・・・・・・伊藤久哉
有明警部・・・・・・・・村上冬樹
アーメッド教授・・・・・ジョージ・ワイマン
リチャードソン博士・・・レオナルド・スタンフォード
インメルマン博士・・・・ハロルド・コンウェイ
シルビア・・・・・・・・エリス・リクター
岡田隊員・・・・・・・・桐野洋雄
戦闘ロケット隊隊長・・・野村浩三
米国代表・・・・・・・・エド・キーン
急行列車運転手・・・・・堤康久
急行列車助手・・・・・・加藤茂雄
保線工夫・・・・・・・・沢村いき雄
人工衛星通信員・・・・・旗持貴佐夫
人工衛星乗員・・・・・・上村幸之
防衛司令官・・・・・・・高田稔
陸将・・・・・・・・・・・・熊谷二良
海将・・・・・・・・・・・・手塚勝巳
空将・・・・・・・・・・・・津田光男
副官・・・・・・・・・・・・岡部正
スピップ号一号乗員・・・・・・・・レオナルド・ウェルチ
〃 ・・・・・・・・緒方燐作
〃 ・・・・・・・・マルコン・ピアース
スピップ号二号乗員・・・・・・・・オスマン・ユセフ
〃 ・・・・・・・・佐藤功一
〃 ・・・・・・・・ハインズ・ボットメル
〃 ・・・・・・・・岡豊
〃 ・・・・・・・・荒木保男
(2007/08/10)
- by axis_009











comments
おはようございます!いつもありがとうございます!
怪獣が出てこない、こういう純粋な空想科学特撮だと、仰るように、現在の常識から外れているという点で、イマイチなんですよねぇ、、、
「当時としては」という見方をせざるを得ないですね。
前作『地球防衛軍』からスケール・アップした映画を目指したのにも拘らず、未知の宇宙空間を舞台にしてしまった為、その宇宙空間でのドッグ・ファイト等の表現の稚拙さや、宇宙への進出ばかりに囚われたのか、その分物語の内容の薄くなってしまっており、今となっては全体的に『地球防衛軍』より地味な映画になってしまっているのが残念ですね。
ただ当時としては月面や宇宙空間での冒険物語は正に空想科学特撮。大きな夢のある映画だったのかもしれませんね。