フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) (昭和40年・1965)
![]() | フランケンシュタイン 対 地底怪獣 [DVD] 馬渕薫 東宝 2007-01-26 |
恐怖の怪人か?凶悪の新怪獣か?日米合作の黄金娯楽巨編!
心技体揃う怪獣映画の最高峰を心して見よ!
子供向けへと変貌を遂げて行く東宝特撮怪獣映画の中で従来のシリアス路線を一手に引き受けた東宝版"フランケンシュタイン"の1作目。フランケンシュタイン、地底怪獣(バラゴン)ともに怪獣としては比較的小さい20~25メートル程度の大きさに設定されているため、ミニチュアも通常の怪獣映画に比べて大型となり、その分作りが精密となっているためフランケンシュタインが巨大化して町を徘徊するシーンなどでリアリティーのある画作りに成功しています。
初の日米合作怪獣映画であり、元々は『フランケンシュタイン対ガス人間』として企画され、その後対戦相手をゴジラ、そして最終的には新怪獣"バラゴン"へと変えて製作、日本版、海外版(ラストで大ダコとの戦いが追加されている)と違った二通りのエンディングのものが作られています。また、『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』での人型の巨人と怪獣の対決はそれまでの怪獣対決と較べると異色ともいえとも言える作品で、後のウルトラマンのプロトタイプになったのではないかと言われる作品でもあります。
ストーリー的には怪獣を出さなくても「人が作った"人間"の悲劇」の物語として地味ながらも良質な映画に仕上がったのではないかと思われる内容で、怪獣を出した方が興行的にもアピール度が高いとはいえ、実際に地底怪獣(バラゴン)の登場は付け足しの感もあります。とはいえ、バラゴンのデザイン自体は見事で、この程度の扱いでの映画出演は勿体無いほどの出来。結局興行的に成功しなかった作品への出演で一般的な知名度は低いものの、バラゴンは東宝怪獣映画ファンには人気の高い怪獣となり、その後復活して幾つかのゴジラ・シリーズへの出演も果たしています。(『怪獣総進撃(1968年)』、『ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃
(2001年)』(2001年)、『ゴジラ FINAL WARS
(2004年)』)
また、着ぐるみの出来も良かったようで、この作品以降パゴス(ウルトラQ)、ネロンガ、マグラー、ガボラ(ウルトラマン
)などに作り変えられ、『怪獣総進撃』の際に再びバラゴンへと作り直されて使用されています。
『美女と液体人間』、『電送人間』、そして初期企画段階での対戦相手だったガス人間の登場する、美しき踊りの師匠(八千草薫)とガス人間にされてしまった悲しみを背負う水野(土屋嘉男)の悲恋の物語を描いた名作『ガス人間第1号』(フラバラと同じ馬淵薫脚本)などの"変身人間"路線と怪獣映画の融合とも言える作品です。
[フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) - ストーリー]
第二次世界大戦終戦間際、人造兵士計画のために日本の同盟国ドイツから広島に永遠に生き続けるフランケンシュタインの心臓が運び込まれるが、広島には原爆が投下され心臓は紛失した。15年後、広島の放射線医学研究所のボーエン博士(ニック・アダムス)と助手の季子(水野久美)は放射線を浴びながらも強靭な生命力を持つ一人の浮浪児を保護する。川地(高嶋忠夫)は急激に成長して巨大化する少年を再生したフランケンシュタインの怪物ではないかと疑念を抱く。
少年は興奮すると誰にも手が付けられないほど暴れたが、優しく接してくれた季子の言うことだけは聞いていた。しかし、大きくなりすぎて倉庫へと入れられた少年は、ある夜取材に訪れたテレビ局のライトに怒り倉庫から逃走。倉庫には千切れてなおも動き続ける手が残されおり、少年がフランケンシュタインの怪物であることが断定される。
その後、更に巨大化した少年の姿が琵琶湖で目撃され、同じ頃各地で頻発していた不思議な失踪事件もフランケンシュタインの怪物の仕業だと疑われる。少年の無実を信じるボーエン博士、季子、そして川地の3人は彼を探し求めるが少年は発見できない。そして、少年を探しに富士の樹海に入った季子達の前に失踪事件の真犯人である地底怪獣(バラゴン)が地中から出現。地底怪獣が季子達に迫った時、フランケンシュタインの怪物となった少年が現れた。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・本多猪四郎
特技監督・・・・・・・円谷英二
脚本・・・・・・・・・・・馬淵 薫(木村 武)
音楽・・・・・・・・・・・伊福部昭
フランケンシュタイン・・・・・・・・・・・古畑弘二
フランケンシュタイン(子供)・・・・・・中尾純夫
地底怪獣(バラゴン)・・・・・・・・・・・中島春雄
川地堅一郎・・・・・・・・・・・高島忠夫
ジェームス・ボーエン博士・・・ニック・アダムス(声・納谷悟朗)
戸上季子・・・・・・・・・・・水野久美
河井大尉・・・・・・・・・・・土屋嘉男
遠井田鶴子・・・・・・・・・沢井桂子
住宅の主人・・・・・・・・・沢村いき雄
岡山県警本部長・・・・・・田崎潤
田所警部補・・・・・・・・・・佐原健二
大阪府警署長・・・・・・・・藤田進
大阪府警幹部・・・・・・・・伊藤久哉
自衛隊幹部・・・・・・・・・・小杉義男
リーセンドルフ博士・・・・・ピーター・マン(声・熊倉一雄)
須賀博士・・・・・・・・・・・・中村伸郎
広島衛戍病院軍医・・・・志村喬
(2006/08/05)
![]() | フランケンシュタイン 対 地底怪獣 [DVD] 馬渕薫 東宝 2007-01-26 |
- by axis_009
comments
『海外版』の特典ディスクに釣られ、『東宝特撮 巨大生物箱』を購入。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』は、幼少の頃、テレビで見て、ラストにタコが出現するのが印象に残っていた。「ゴジラ」とは異なり、「フランケンシュタイン」は、怖いもの見たさ。私は、ホラーに興味が無いので、『サンダ対ガイラ』とあわせ、ギリギリの映像作品だ。円谷英二特技監督の「生理的な嫌悪感を覚えない。」である。
ビデオソフト、LD、DVD(旧版)と購入していたが、今回、海外版の謎が少しとけたようだ。タコの出現=即、海外版ではないという事だ。分売せずに、特典にするのも凄い。
本来は人間でありながら、異質の生物として、社会では受け入れられないフランケンシュタイン。姿や形で判断してしまう事の、人間の愚かな部分を見事に描写しているが、こういう作品こそが、戦後に導入された、授業科目の「道徳の時間」よりも、価値があると思われる。何度見ても、考えさせられる作品である。
こんばんは!
まさにおっしゃるとおりですね。
変身人間シリーズとしても、見たいと思いますが、
やはり巨大化したら、怪獣と戦うしかなかったか、、、
悩むなぁ、、、
確かにバラゴンは余分でしたね。まぁ、タイトル自体が「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」ですけど。
>怪獣を出さなくても「人が作った"人間"の悲劇」の物語
このままでも面白い映画だと思いますが、そういう話でも見て見たかったですね。でも、怪獣を登場させて対決物として終わらせないと、血なまぐさいラストになってしまいそうな可能性もありますね。