2006年03月24日
ゴジラ対メカゴジラ (昭和49年・1974)
![]() | ゴジラ対メカゴジラ [DVD] 東宝 2008-03-28 |
目からスペースビーム、口からデストファイヤー、
宇宙を飛び、ミサイルを撃ち込む!
全身が武器の凄いゴジラが現れた!勝った方が正義だ!!
ゴジラ誕生20周年記念作品。映画公開の翌年に沖縄海洋博(1975年)を控えた沖縄(1972年に本土返還)を舞台に、"大宇宙ブラックホール第三惑星人"による地球侵略、伝説の怪獣"キングシーサー"復活の鍵を握る置物を巡る争奪戦などを描いた娯楽作品。アクション演出を得意とする福田純監督のテンポの良い演出と娯楽性の高いストーリー。“メカゴジラのテーマ”を始めとする各場面に見事にマッチした佐藤勝の音楽。中野昭慶特技監督による"全身が武器と化したメカゴジラの一斉攻撃シーン"、"燃え盛るコンビナート破壊"など、凄まじい迫力を誇る特撮映像。福田純監督&中野昭慶特技監督コンビによるゴジラ映画の中では最高傑作であり、昭和ゴジラ・シリーズ後期を代表する作品のひとつです。
本作で初登場したゴジラ最強の敵"メカゴジラ"は、作品を経るごとに人間側へとシフトし、それに合わせるかのように丸みを帯びていく"ゴジラ"のデザインに対して正反対のシャープなラインを持ち、全身に武器を備えた圧倒的な火力を持つロボット怪獣。メカゴジラを挟み撃ちにしようと前後に構える"ゴジラ&キングシーサー"を苦も無く同時に攻撃したり、微動だにせず全身の武器を一斉射撃し続けてゴジラを圧倒するなど、ロボット怪獣ならではの強力、且つ残虐で派手な攻撃方法をもち、感情を持たない機械の怖さを表現。その強さとクールでカッコ良いデザインからメカゴジラは映画公開後たちまち円谷英二時代の"モスラ"、"キングギドラ"などの往年の有名怪獣と並ぶ人気を得て、次作ではゴジラを押しのけてメイン・タイトルに単独で登場(『メカゴジラの逆襲』1975年)。以後、設定を変えつつも『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年)、『ゴジラ×メカゴジラ
』(2002年)、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS
』(2003年)の計5作品(本作『ゴジラ対メカゴジラ』含む)のタイトルを飾る、ゴジラの永遠のライバル怪獣となりました。
ロボットのゴジラ"メカゴジラ"のアイディアは『キングコングの逆襲』に登場したロボットのキングコング"メカニコング"、前作『ゴジラ対ガイガン』に登場した"ゴジラタワー"が元になっており、製作にあたってはスタッフが購入したゴジラのブリキのおもちゃの曲線部分を潰して直線を基本としたイメージを作りつつ、甲冑のデザインを取り入れ、指先からはミサイル、眼と口からは光線を出すなど、全身を攻撃兵器で武装させて最強のロボット怪獣として作り上げたのが"メカゴジラ"です。
この作品に到るまで、"怖いゴジラ"への「原点回帰」が常に検討されていましたが、既に子供のアイドルとなっていたゴジラの設定を悪役に戻すことは難しく、大人のファンからは子供向けになってしまったことへの批判を受け、更に観客側の年齢的な成長などもあり(第1作ゴジラ世代、60年代ゴジラ世代、東宝チャンピオンまつり世代など)、シリーズを重ねるごとに拡がり過ぎてしまった観客層の様々な想いに対応しきれない時期を迎えていました。
そこで、ゴジラの設定(人類の味方=子供のアイドル)は変更せず、本来のゴジラのポジションを担うに充分な、ゴジラ以上に魅力&強さを持った怪物を新たに敵役として登場させることにより、マンネリ化の打破とゴジラ映画が抱えてきた幾つかの問題を解決し、同時にゴジラ映画の「原点回帰」を図るという策が採られました。こうして産み出された"メカゴジラ"の登場は、「ゴジラ対ゴジラ」という構図の面白さ、子供のアイドルであるゴジラと壮絶なバトルを展開する「ゴジラ最強の敵」として、そしてオールド・ファンにとってはメカゴジラに「ゴジラの原点」を見ることが出来るという、(全ては無理にせよ)ゴジラ・ファンを納得させるに充分な魅力を持っており、メカゴジラは瞬く間に人気怪獣になるとともに、作品内でも主役のゴジラを完全に喰ってしまう程の存在となっています。
光学合成をふんだんに使ったスピード感溢れる迫力のある攻撃を見せるメカニカルなメカゴジラに対して、沖縄の伝説の怪獣"キングシーサー"を登場させることにより伝奇的ムードが加えられて、ただの宇宙人の地球侵略物に終わらせていないのも面白いところです。翌年に開催される沖縄海洋博に関連した設定とはいえ、科学と伝説、そして原始的なゴジラの対比で、ストーリーを一段と娯楽性の高いものにしています。
キングシーサー復活に際して、置物を祠に置くだけでは復活せず(登場するのみ)、更に安豆王族の継承者・那美の祈りの歌「ミヤラビの祈り」を捧げなければ完全復活しないのですが、1コーラスだけではキングシーサーがまったく反応せず、フルコーラス歌わないと動き出さないのは、真面目に作っているのか、ギャグなのかの判断に苦しみますが、昭和歌謡ムードいっぱいの「ミヤラビの祈り」とともに、なかなか笑える珍場面です。
『ゴジラ・レッドムーン・エラブス・ハーフン 怪獣番外地』
同時期の企画として、『ウルトラQ』、『ウルトラマン
』、『ウルトラセブン
』などのウルトラ・シリーズの骨子を築いた沖縄出身の脚本家・金城哲夫
が執筆した上記タイトルのストーリーも作られていましたが、残念ながら映画化されること無く終わっています。また、『ゴジラ対メカゴジラ』に登場するヒロイン・金城(かなぐすく)冴子の名前は、ウルトラ・シリーズの立役者であり、沖縄海洋博のメインイベントを任されていた金城哲夫への原作者の一人である福島正実からの想いが込められてます。
ちなみに、『ウルトラセブン』の人気エピソード「ウルトラ警備隊、西へ!」に登場する"キングジョー"は金城(きんじょう)哲夫の名前が由来です。
*沖縄では元々「金城」という姓は「かなぐすく」と呼称されていましたが、時代の流れの中で大和風に変えさせられ「きんじょう」となったようです。
[ゴジラ対メカゴジラ - ストーリー]
沖縄海洋博の工事現場の洞窟で建築技師・清水敬介(大門正明)は奇妙な壁画と獅子の置物を発見する。清水は首里大学考古学教室の研究助手・金城冴子(田島令子)とともに考古学者・和倉教授(小泉博)を訪ね、壁画に書かれた予言と置物に書かれた文字の解読を試みる。壁画には戦う怪獣が描かれており、予言には「大いなる怪獣が現れ、この世を滅ぼそうとするが、2頭の怪獣が現れ人々を救う」と書かれていた。
一方、清水の弟・正彦(青山一也)は玉泉洞で見つけた金属片を宇宙工学博士・宮島博士(平田昭彦)の元に届けるが、分析の結果、その金属片は地球外の未知の金属"スペース・チタニウム"であることが判明する。
翌日、富士の火口から"ゴジラ"が出現。ゴジラは同じく現れた、味方である筈の"アンギラス"を襲って撃退する。アンギラスとの戦いの際にゴジラの右腕から飛び散った金属片を見つけた清水は宮島博士に報告、これもスペース・チタニウムだと判明。清水と宮島博士は金属片の謎を探る為にゴジラを追うが、暴れるゴジラの前に新たにもう一匹のゴジラが登場。"ゴジラ対ゴジラ"の激闘の中、片方のゴジラが青白い炎を発して皮膚を焼き、その中から金属で出来た本来の姿を現した。最初に出現したゴジラは全身をスペース・チタニウムで覆われた"メカゴジラ"だった。2頭の戦いは相討ちに終わり、傷ついたゴジラは海中に没し、損傷を受けたメカゴジラは何処となく飛び立った。
調査の為、最初に正彦が金属片を見つけた玉泉洞に向かった宮島博士達は、メカゴジラを操り地球滅亡を企む"大宇宙ブラックホール第三惑星人"に捕らえられ、宮島博士はメカゴジラの修理を強要される。宮島博士達が行方不明になったことを知った敬介は宮島博士達の後を追い、第三惑星人に襲われて危ういところを救ってくれたトップ屋の南原(岸田森・実はインターポールの秘密捜査官)とともに第三惑星人の基地への潜入、宮島博士達の救出に成功する。
その頃、獅子の置物を調査していた和倉教授は遂に文字の解読に成功。獅子の置物には「西から陽が昇る時、この置物を安豆王城の石の祠に置け」と書かれていた。それは沖縄の伝説の守り神"キングシーサー"を復活させる方法だった。。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・福田純
特殊技術・・・・・・・・中野昭慶
原作・・・・・・関沢新一、福島正実
脚本・・・・・・福田純、山浦弘靖
音楽・・・・・・・・・・・・佐藤勝
ゴジラ・・・・・・・・・・・・図師勲
メカゴジラ・・・・・・・・・森一成
キングシーサー&アンギラス・・・久須見護
清水敬介・・・・・・・・・大門正明
清水正彦・・・・・・・・・青山一也
金城冴子・・・・・・・・・田島令子
国頭那美・・・・・ベルベラ・リーン
宮島博士・・・・・・・・・平田昭彦
宮島郁子・・・・・・・・・松下ひろみ
和倉博士・・・・・・・・・小泉博
南原・・・・・・・・・・・・・岸田森
柳川・・・・・・・・・・・・・草野大悟
黒沼・・・・・・・・・・・・・睦五郎
(2006/03/24)
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- by axis_009
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