ゴジラ対メガロ (昭和48年・1973)
![]() | ゴジラ対メガロ 福田 純 東宝 2008-03-28 |
復讐に燃える海底人の陰謀、迫る危機、急げジェット・ジャガー、みんなを守れ!
1973年、"怪獣ブーム"は"変身ヒーロー・ブーム"へと完全に移行。TVでは火付け役の仮面ライダー・シリーズ『仮面ライダーV3』、ウルトラ・シリーズ『ウルトラマンタロウ
』、『人造人間キカイダー
』、『風雲ライオン丸
』など、様々な変身ヒーロー物が各局で放映され、そしてアニメでは(この後に"ロボット・アニメ・ブーム"を巻き起こすことになる)『マジンガーZ
』の放送開始、その他にも『デビルマン
』、『科学忍者隊ガッチャマン
』など、放送終了後30年以上を経て今尚語り継がれる傑作番組&アニメが目白押し。そうしたテレビの変身ヒーローやロボット・アニメの影響を受け、東宝が新ヒーローとして売り出すべく『ゴジラ対メガロ』に登場させたのが人間型ロボット"ジェット・ジャガー"です。
敵役の怪獣も当時の子供達のブームのひとつ"昆虫ブーム"を意識して、頭をカブトムシ、体はセミをイメージしてデザインされた"メガロ"。しかし、子供に人気のアイテムを沢山詰め込んではみたものの、あまり子供に受けそうなデザインとはいえない「あまりにも格好悪いジェット・ジャガー」、子供向けに作られたとはいえ「あまりに荒唐無稽な内容」、企画&製作日数(約30日)が短すぎた為に脚本を詰めきれなかったのか「どこか納得のいかない理不尽なストーリー」、その上ゴジラのユーモアもふざけ過ぎの感もあり、子供を狙ったにもかかわらず、その子供からですら不評を買う結果となり、ゴジラ・シリーズ中で最も人気のない作品となってしまいました。
例えば、この『ゴジラ対メガロ』を『モスラ』のストーリーに置き換えると以下のようになります。
核実験の為に甚大な被害を受けたインファント島の住民(=海底王国シートピア)は健気にもその境遇に耐えていたが、島の象徴である小美人を異国に誘拐される(=地上人の度重なる核実験の脅威)という、更にひどい仕打ちを受けることになる。島民(=海底王国シートピア)の怒りは爆発し、遂にインファント島の守護神モスラ(=シートピアの守護神・メガロ)は目覚め、小美人(=シートピアの平和)を取り戻す為に行動を開始する。そしてモスラ(=メガロ)は本能のまま小美人を捜し求め(=シートピアの平和の為)、その結果として各地で破壊を繰り返すことになる。
映画『モスラ』の場合、人間側にも善悪両サイドの人物が登場し、善側の人間は人類の愚行を反省して小美人に謝罪。悪人は滅び、モスラは小美人を乗せて人間達に見送られながらインファント島に戻る、という結末に至ります。
しかし、『ゴジラ対メガロ』では、地上人の行いを悔やみ「2度と繰り返すまい」と反省する登場人物も出てはきますが、平和の為に立ち上がった海底王国シートピア人とメガロ(=モスラ)に対して、人間側に付いた怪獣王"ゴジラ"が反撃。しかも設計者も想定外の巨大化という不思議な現象を起してしまう"ジェット・ジャガー"というロボットまで登場して、ゴジラとタッグで"海底王国シートピア"と"メガロ"、そして可哀そうな海底王国シートピアに協力する為にやって来た宇宙怪獣"ガイガン"も含めて、やむなく立ち上がった人々(弱者)を撃退してしまうという、なんだか納得がいかない結末を迎えます。ラストでジェット・ジャガーとゴジラが笑顔(?)でしっかりと握手までしてしまいますが、いくら子供でも高学年あたりになってくると「ゴジラが勝った」と素直に喜べず、分別のある大人が見た場合、どこか違和感のあるストーリ展開になってしまっています。
すでに人気プログラムとして定着していた『東宝チャンピオンまつり』のプログラムのひとつに過ぎない、といった程度の意識で製作され、全体的にテレビ的な考え方&作り方をされたのでは無いかと思わざるを得ない内容で、制作期間の短さといい、当時量産されたテレビ・ヒーロー番組でも稀に見られた矛盾したストーリー展開など、結果としてテレビ特撮からの悪い影響ばかり出てしまったのではないかとすら思えます。
*人類の無邪気な探究心によって被害を受けた宇宙人が地球侵略にやってくる、というシチュエーションはウルトラ・シリーズの『ウルトラセブン』などで多用されていますが、『ウルトラセブン』などでは同じ宇宙人であるウルトラ・セブンが必死に説得を試みる、というパターンが導入されており、子供達の情操教育上(笑)幾分ましな展開を見せます。
海底王国シートピアの地上人に対する怒りはまったく正当なもので、上記『モスラ』とのストーリー置き換え、第1作『ゴジラ』の内容などから考えると、既に子供のヒーローと化していたゴジラとしては映画を見ている子供達の側(地上人)に立つのは当然ですが、どちらかと言えばゴジラ本来のポジションは海底王国側。そうなると、何作か前から積極的に人類の危機を救いにやって来るようになった『子供のヒーローであるゴジラ』対『本来あるべき姿のゴジラ(=メガロ)』(前々作の『対ヘドラ』なども同様)と置き換えることが可能で、昭和シリーズ後期のゴジラは、シリーズを継続させるための苦肉の策(?)として"主人公である人間側の恐怖の対象"から"ゴジラ自身が映画の主人公"へとポジションが変化したことによる、過去のゴジラ自身との戦いだったとも言えます。
尚、この映画は冒頭にも書いたように(結局不評に終わってしまいましたが)元々"ジェット・ジャガーを売り出すための映画"という性格が強く、"ゴジラ"はサブ・キャラ的な扱い。TV特撮『流星人間ゾーン』と同様のパターンですが、タイトルが『ゴジラ対メガロ』となっているのは、やはり観客動員上の理由からだと思われます。また、ロボットが操縦者の意思を無視して自らの意志で動き始める、という流れは名作テレビ特撮『ジャイアントロボ
』を始め、観る者に感動を呼ぶストーリーになることが多いのですが、この作品は例外でした。
この映画のゴジラの立ち回りには『座頭市』、『木枯し紋次郎
』などからの殺陣がパロディー(?)として取り入れられています。しかし、現在でもスチール写真などで良く見ることが出来る「口に爪楊枝代わりに電柱をくわえ、巨木を刀のように構える」という『木枯し紋次郎』をそっくり真似た殺陣場面は、撮影はされたものの「あまりにもふざけ過ぎ」としてカットされています。
[ゴジラ対メガロ - ストーリー]
300万年前の地殻変動により海底に没したレムリア大陸人が築いた"海底王国シートピア"は地上人の核実験の脅威にさらされていた。王国を壊滅状態にされ、遂に平和のために立ち上がったシートピアの指導者アントニオは伊吹吾郎(佐々木勝彦)が開発したロボット"ジェット・ジャガー"を奪い、シートピアの守護神"メガロ"の先導役として利用、地上への侵攻を開始する。防衛隊は"メガロ"の攻撃に苦戦を強いられ、東京は破壊の限りを尽くされる。
なんとか"ジェット・ジャガー"を取り戻した伊吹たちは、"ゴジラ"に応援を頼むために"ジェット・ジャガー"を怪獣島に派遣、シートピア人もMハンター宇宙星雲人に宇宙怪獣"ガイガン"の救援を要請するのだった。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・福田純
特殊技術・・・・・・・・中野昭慶
原作・・・・・・・・・・・・関沢新一
脚本・・・・・・・・・・・・福田純
音楽・・・・・・・・・・・・真鍋理一郎
ゴジラ・・・・・・・・・・中島春雄
メガロ・・・・・・・・・・・伊達秀人
ガイガン・・・・・・・・・中山剣吾
ジェット・ジャガー・・・駒田次利
伊吹吾郎・・・・・・・・佐々木勝彦
伊吹六郎・・・・・・・・川瀬裕之
陣川博・・・・・・・・・・林ゆたか
アントニオ・・・・・ロバート・ダンハム
黒服の男・・・・・・・・富田浩太郎
灰服の男・・・・・・・・大月ウルフ
(2006/02/26)
![]() | ゴジラ DVDコレクションIII(6枚組) 山内明 佐々木勝彦 大門正明 東宝 2008-03-28 ■ゴジラ対ヘドラ ■地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン ■ゴジラ対メガロ ■ゴジラ対メカゴジラ ■メカゴジラの逆襲 ■未公開映像集 |
- by axis_009












comments
ジェットジャガーは子供心にも白けました。(笑)
ゴジラ映画は多少難があっても、怪獣が暴れまくってくれればそれでよいので、大体のものは好きですが、この映画だけはちょっと…。
僕もジェット・ジャガーだけはダメでしたね。当時、まったく受け付けませんでした。雑誌の予告で始めてみたとき、何でゴジラのパートナーはこんなに格好悪いのか?と、映画を見る前から萎えてました。わざわざ映画館にジェット・ジャガーを見に行かなくても、TVで他に格好良いロボットが沢山いたし、ゴジラも流星人間ゾーンにちょくちょく出てきてましたし。
メガロもあんまり格好良く無かったですね。
製作日数が企画も含めて30日でしたか。テレビの特撮番組はどのくらいの期間で作ってたんだろう?
あの頃は怪獣は飽和状態だったからなぁ。もう少し魅力が無いと、いくらゴジラが出てても、って感じでしたね。
ゴジラが木枯し紋次郎の物まねをする場面は雑誌などでは良く見かけていたのですが、実際には使われてなかったんですね。
写真を見ただけですが、確かにあれはやりすぎかも....
ちょっとこの「ゴジラ対メガロ」、反対の意味で見てみたくなりました。
大体のゴジラ映画は許せるんだけど、僕も(昭和シリーズの中では)この映画だけはダメです。と、いっても昭和シリーズ以降の平成シリーズやミレニアム以降はダメな作品というより、好きな作品がいくつかあるだけ、といった感じですけど。
たまに見返したりしますが、この映画はどうも嫌い、というか苦手なんですよね。そのへんは記事に書いたこと、それからコメント頂いた皆さんと意見とほぼ同じです。
マッハ文朱の出た『宇宙怪獣ガメラ』(だったかな)とどっちが好きか、といわれたら困るぐらいの問題作です。(って、意味不明ですね。すみません。)
子供の頃、ジェットジャガーは描きやすかったですね。特に、あのギザギザの口が子供心に、にやけているように感じられました。
本作のハイライトは、やはり、メガロのダム破壊のシーンでしょうね。
ゴジラの顔つき(造型)が優しいので、ジェツトジャガーとは良い組み合わせ(ビジュアル的に)だったのかもしれません。ジェツトジャガーも『流星人間ゾーン』に客演していれば、また、違った評価をされていたのでしょうね。
遂にここまで来てしまったか・・・・、という金字塔のような作品です。(笑)
これはもう、難しいことは考えずに笑って、無理やり面白がって見るしか無いですね。(それでもキツイですが…)