ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 (昭和41年・1966)
![]() | ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 宝田明 水野久美 福田純 東宝ビデオ 2008-02-22 |
凶悪新怪獣エビラ!陸・海・空に展開する三大怪獣世紀の対決!
南海の孤島を舞台に軽快な音楽と軽いタッチで描かれる冒険活劇。加山雄三の"若大将シリーズ
"に小林旭
に代表される"無国籍映画"のテイストを加え、尚且つ怪獣が登場するという昭和ゴジラ・シリーズの異色作。
怪獣ではなく人間サイドの物語を中心に置いた作品で、ゴジラは事件に巻き込まれる形で登場します。しかし、それがゴジラである必然性がまったく無く、どちらかと言えば"キングコング"の役どころ。実際、当初東宝が『キングコング対ゴジラ』製作時の著作権契約が切れる前にキングコング出演作を製作するため『ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ』として企画をスタートさせており、その企画に対してアメリカ側が難色を示したこと、そして興行的な理由(ゴジラの方が客を呼べる)から最終的にゴジラに変更された、という映画です。そのため内容的には、ストーリーの調整も無くただ単にキングコングをゴジラに差し替えただけ、という印象が強い作品になってしまっています。
又、"三大怪獣世紀の対決"と謳いながらも"モスラ"の登場シーンは僅かで、殆ど付け足しでの登場といった感が強く、ゴジラ映画の醍醐味のひとつである都市破壊シーンも無ければ、ザリガニをモデルにした新怪獣"エビラ"も(キングコング相手なら映えたかも知れませんが)地味。物語の途中に登場する"大コンドル"にいたってはキングコング前提ならではの怪鳥で、ゴジラ相手ではイメージが弱すぎます。そういったことなどから全体的に"ゴジラ映画として見るには中途半端"で欲求不満の残る作品です。
但し、以上は"怪獣映画"として見た場合の話で、人間サイドの"冒険括劇映画"として見た場合は少し印象が変わってきます。本多猪四郎に代わり今作で初ゴジラ映画演出となる、アクション演出が得意な福田純監督の持ち味は良く出ていますし、佐藤勝が担当したエレキ・サウンドを前面に出した軽快な音楽も軽いタッチで描かれるストーリーにマッチ。テンポの良い展開とストーリー、盛り込まれた数々のギャグとともに、無鉄砲な若者達の冒険を明るく楽しく演じる宝田明、「赤イ竹」の司令官役の田崎潤、竜尉隊長役の平田昭彦の怪演、そして島の娘ダヨを演じるチョコレート色の肌が眩しく魅力的な水野久美等の好演に加え、昭和40年前後の時代の雰囲気までをも巧く取り込んだ、十分に楽しめる娯楽作品になっています。それだけに、(いろいろな事情や都合があったとは思われますが)中途半端なゴジラ映画になってしまっていることが残念。人間ドラマを軸とした良質の"明るく楽しい冒険活劇"に"ゴジラがゲスト出演した"というスタンスで見るべき映画ではないかと思います。
また、軽いタッチで描かれ、初期ゴジラ映画とはまったくイメージが違う映画になっていながら、ゴジラ映画としては久々に"核の恐怖"を訴える内容になっているのも面白いところです。
今作では、前作での「シェー」に続き、加山雄三が当時の大ヒット曲"君といつまでも"の「幸せだなぁ。」から始まる台詞の中で人差し指で鼻を擦る、お決まりの仕草を真似るゴジラを見ることが出来ます。又、見せ場の無い付け足し程度の登場となった"モスラ"ですが、この作品以降"昭和ゴジラ・シリーズ"への"成虫モスラ"の登場は無く、次にスクリーンに登場するのは"平成ゴジラ・シリーズ"『ゴジラVSモスラ
』(1992年)まで待つこととなります。
[ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 - ストーリー]
南洋で遭難した兄を探す為に上京した良太(渡辺徹)は、偶然知り合った大学生2人とヨットハーバーのヨットに忍び込む。そこに居合わせた吉村(宝田明・実はヨットの持ち主ではなく金庫破りの強盗犯)は3人をヨットに一泊させてくれるが、翌朝吉村達が目を覚ますとヨットはヨットハーバーを出航して海上に出てしまっていた。良太が兄を探す為、南太平洋に向けて勝手に出航させてしまったのだった。
妙な縁で同行する羽目になった良太と3人は航海を続けるが、ある日ヨットは大嵐に襲われ海中から現れた巨大なハサミによって大破する。南海の孤島に漂着した4人は、島の娘ダヨ(水野久美)と出会い、その未知の島"レッチ島"が某国の秘密組織"赤イ竹"の基地兼核爆弾製造工場だと知る。そして島では強制連行されたインファント島の住民達が労働を強いられていた。吉村達4人とダヨは、偶然見つけたレッチ島の洞窟で眠る"ゴジラ"を利用して、インファント島の住民たちを解放する計画を立てるのだが。。。。
■キングコングの逆襲 (1967)
![]() | キングコングの逆襲 宝田明 本多猪四郎 浜美枝 東宝 2004-01-30 |
■ゴジラVSモスラ (1992)
![]() | ゴジラvsモスラ 別所哲也 小林聡美 村田雄浩 東宝 2002-03-21 |
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・福田純
特技監督・・・・・・・・円谷英二
脚本・・・・・・・・・・・・関沢新一
音楽・・・・・・・・・・・・佐藤勝
ゴジラ・・・・・・・・・・中島春雄
エビラ・・・・・・・・・・関田裕
吉村・・・・・・・・・・・宝田明
良太・・・・・・・・・・・渡辺徹
弥太・・・・・・・・・・・伊吹徹
市野・・・・・・・・・・・当銀長太郎
仁田・・・・・・・・・・・砂塚秀夫
ダヨ・・・・・・・・・・・・水野久美
「赤い竹」司令官・・田崎潤
竜尉隊長・・・・・・・平田昭彦
小美人・・・・・・・・・ペア・バンビ
(2006/01/05)
![]() | ゴジラ DVDコレクションII(7枚組) 邦画 東宝 2008-02-22 ■三大怪獣 地球最大の決戦 ■怪獣大戦争 ■ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 ■怪獣島の決戦 ゴジラの息子 ■怪獣総進撃 ■ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 [特典Disc] ■東宝特撮未使用フィルム大全集 |
- by axis_009














comments
これは異色作ですね。子供の頃に見た時はあまり面白く感じなかったけど、大人になってから見ると結構楽しめました。確かに、人間ドラマ部分は良く出来てますね。記事に書かれている様に正に「明るく楽しい冒険活劇」だと思います。
海老の怪獣って言うのもなかなかシュールですねぇ。そういうところまで計算してるのかな。
深読みしすぎか…。
本当にゴジラ、そして特にモスラは付け足しのような映画ですが、記事にも書いているんですけど"冒険括劇映画"風の作りは結構好きなんですよ。
でも、前々作『地球最大の決戦』で地球をキングギドラの魔の手から助けてもらったにも拘らず、前作『怪獣大戦争』では勝手に宇宙人に貸し出すし、遂に本作ではゴジラを利用してやれ、というスタンスにまでなってきていて人間の怪獣に対する扱いが段々酷くなってきてますね。^^;
福田純監督の初ゴジラ映画。僕はどうもこの福田純という監督の作品は信用できなくて。。。。
有能無能という話ではなくて、東宝に映画を仕上げる職人として都合よく使われていたんじゃないかというイメージがあるんです。だから難しいところばかりを東宝から押し付けられていたのではないかと・・・。そういう意味では、きちんと映画をとりあえずは形にしてきた監督の手腕は評価しても良いのかもしれませんが、作品の質としてはどうなのかな、と思っちゃうんですよね。
こんにちは!元々、キングコングだったんですね。納得です。
でもこれ、割とおもしろかった。特にゴジラが、かわいかったです。
そうですか、成虫モスラ。昭和シリーズ、これが最後か、、、