ゴジラ対ヘドラ (昭和46年・1971)
![]() | ゴジラ対ヘドラ 木村俊恵 柴本俊夫 山内 明 東宝 2008-03-28 |
流れ星でやって来た、公害怪獣ヘドラ!
街を森をふみつぶし、二大怪獣が大決戦!
初めて出会った最強の敵に、ゴジラは勝てるのか!?
日本映画界が誇る特撮の巨匠"円谷英二"の死後(1970年1月没)、特撮怪獣映画が"第二次怪獣ブーム"の中心となるテレビの特撮怪獣番組に押される中、監督には本作が初監督作品となる"坂野義光"、音楽には伊福部昭の門弟である"真鍋理一郎"を迎えた新体制で製作されたゴジラ映画。
当時、深刻な社会問題となっていた"公害"を重要なテーマに据え、第1作『ゴジラ』(1954年)での"核"以来、久々にしっかりとしたテーマ性を持った映画として製作されており、そのアヴァンギャルドな映像や演出とともに、新時代の、そして新感覚のゴジラ映画を生み出そうとした意欲が窺える作品です。
「水銀、コバルト、カドミューム、鉛、硫酸、オキシダン、シアン、マンガン、バナジウム、クロム、カリウム、ストロンチューム…。汚れちまったこの地球。海をかえせ!空をかえせ!」と歌う、アングラ・ムードたっぷりの挿入歌があまりにも印象的なこの作品は、人類による自然破壊、環境汚染という深刻なテーマを題材にしているだけあって、映画全体のトーンは暗く、真鍋理一郎が担当した音楽も軽快でありながら、どこか観るものの不安感を煽る響きを残します。
毒々しく醜悪な様相を持つ"ヘドラ"は当初オタマジャクシのような生物として発見され、有害物質を養分として吸収しながら仲間同士で合体を繰り返して"水中棲息期"、"上陸期"、"飛行期"、"成長期"と4段階で進化。徐々に巨大化して最終的にはゴジラ以上の巨大な生物に成長します。動物的な生態が無く、人類が汚染を続けほどに成長するという、戦後日本の高度成長期の「影」の部分を象徴するグロテスクな"絶対悪の怪物"として描かれ、"ゴジラ"も"人類の味方"ではなく、地球に住む生物として"地球の守護神"的なポジションで人類が生み出してしまった怪物ヘドラと戦い、ラストでゴジラは人間達を睨みつけるような怒りの形相を見せて去っていきます。また、これまでの怪獣映画ではあまり強調されることのなかった"一個人の死"をしっかりと描く残酷シーンも多く、ゴジラも左眼をつぶされ、左手を白骨化させられるという、ここ数作のゴジラ映画では考えられない惨劇が繰り広げられます。
しかし、映画の暗いムードに反して、映画出演作が増える度に擬人化されたユーモアのある仕草を見せるようになったゴジラの演技はこの作品でも健在。悲壮感漂う映画の中でちょっとした救いとなるシーンになっています。又、一般的にも賛否両論、個人的にも「大真面目に作られたのか、それともある種のギャグだったのか」判断がつきかねますが(笑)"尻尾を丸めて胸の前で抱え込み、放射能火炎を推進力にして後ろ向きに空を飛ぶゴジラ"を唯一見ることが出来ることで有名な作品でもあります。
*でも、どうせ飛ぶなら、もっと格好の良い飛び方は無かったものか。。。。(笑)
[ゴジラ対ヘドラ - ストーリー]
富士に近い河口でオタマジャクシのような不思議な生物が発見され、海洋学者の矢野徹(山内明)の元に届けられる。分析の結果、宇宙鉱物ヘドリュームがヘドロを養分として成長した生物と判明、同じころ多発していた船舶の海難事故も同種の生物が原因であると推測された。矢野の息子の研(川瀬裕之)によって"ヘドラ"と名付けられたその生物は有害物質を養分としながら成長し、仲間に出会うと吸い寄せられるように合体して少しずつ大きくなっていった。そして進化したヘドラは遂に工場の煙突から排出される黒煙を求めて上陸を開始する。
恍惚の表情を浮かべながら煙を吸い込みパワー・アップしてゆくヘドラ。人々はヘドラが撒き散らす"硫酸ミスト"により次々に白骨化、ヘドラの通過した跡にはビルが腐食して崩れさった廃墟だけが残った。人類が産み出した有り余る有害物質により、更に巨大化して行動範囲が広がったヘドラの為に硫酸ミストの被害も広がっていく。
地球の危機を察してヘドラを倒す為に"ゴジラ"が現れるが、ゴジラの攻撃はヘドラの体を突き抜け、ヘドラにダメージを与えることが出来ない。しかも、ゴジラの攻撃により飛び散った硫酸ミストが人々を、そしてゴジラ自身を襲う。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・板野義光
特殊技術・・・・・・中野昭慶
脚本・・・・・・・馬渕薫・板野義光
音楽・・・・・・・真鍋理一郎
ゴジラ・・・・・・・・中島春雄
ヘドラ・・・・・・・・・中山剣吾
矢野研・・・・・・・・川瀬裕之
矢野徹・・・・・・・・山内明
矢野敏江・・・・・・木村敏江
毛内行雄・・・・・・柴本俊夫
富士宮ミキ・・・・・麻里圭子
伍平じいさん・・・・吉田義夫
(2006/02/05)
![]() | ゴジラ DVDコレクションIII(6枚組) 山内明 佐々木勝彦 大門正明 東宝 2008-03-28 ■ゴジラ対ヘドラ ■地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン ■ゴジラ対メガロ ■ゴジラ対メカゴジラ ■メカゴジラの逆襲 ■未公開映像集 |
- by axis_009












comments
子供心にかなり怖かった記憶が……。「水銀、コバルト、カドミューム……」も変な格好をしたお姉さんが変な歌を歌ってる、って感じで、苦手な映画でした。(笑)
大人になってみてみると、時代背景とか、ゴジラ映画のマンネリ打破とか、これはこれでいろいろ考えて作ってたんだな、なんて感じましたが。
子供の頃に見ましたが、トラウマになっちゃいました。主題歌も強烈だったし、人もどんどん死んでゆくし。今から考えると、シュールな内容だったなぁ。
ゴジラが飛ぶシーンは、子供の目から見ても笑えましたね。シリアスな映画なので、ギャップが....。
この映画はインパクトがありました。特に主題歌を歌う女性や、その衣装とか。当時は不思議な印象でしたが、今考えると当時の若者文化を反映してるのかもしれませんね。サイケデリックで映画全体を覆う退廃的なムードとか。
円谷英二後の怪獣映画を模索した作品ですね。『ゴジラ対へドラ』以降、この種の作品は昭和ゴジラシリーズでは作られていないので、この路線は東宝内では評価されなかったのかも知れませんが、この作品は与えたインパクト故に後の怪獣映画、アニメ等にに与えた影響はかなり大きいのではないかと考えています。
個人的には平成ゴジラ・シリーズの名作『ゴジラVSビオランテ』は平成版『ゴジラ対ヘドラ』ではないかと思っているのですが。
昭和ゴジラ・シリーズ後期の作品では一番好きな映画です。初期ゴジラの核への脅威からヘドラの公害へとテーマを変えて、久々に問題意識を持たせた作品ですね。
映画全体の印象はこの時期のゴジラ映画にしては暗いし、余り一般受けしそうに無いですが。
公害問題をテーマにした特撮作品ではテレビの「スペクトルマン」などもありましたね。(「宇宙猿人ゴリ」というタイトルだったかな?)