妖星ゴラス (昭和37年・1962)
![]() | 妖星ゴラス 円谷英二 本多猪四郎 池部良 東宝 2004-02-27 |
赤い怪彗星、激突の危機迫る!地球の軌道脱出なるか!?
物語の細部では科学考証をしっかりと行った映像を見せながら、最終的には映画ならではの壮大なスケールを持つ奇想天外な嘘の世界へを集結する一大スペクタクル巨編。
監督・本多猪四郎が自らの最高傑作と語った人間描写と巧みな心理演出が見事な人間ドラマと南極基地の素晴らしいセットを始めとする当時の特撮技術の粋を結集した特撮映画の醍醐味溢れる映像。本作『妖星ゴラス』は特撮の東宝が誇る空想科学特撮映画の傑作です。
地球を動かす、というような突飛な設定に無理が生じるのは仕方が無く、ツッコミどころ満載の映画ではありますが、こういった法螺話に細かいツッコミは野暮というもの。難しいことは考えずに目の前に広がる最高峰の空想科学特撮の世界をじっくりと楽しみたいものです。
但し、1つだけ難を言うと、公開当時には営業的に有利だと考えられて登場させたのであろう怪獣"マグマ"が余分なシーンに感じられることです。地球の危機に更なる試練、という危機感を煽る効果はあるものの、物語全体は大人向けの寓話として作られており、最後に子供をターゲットにした怪獣を登場させるというのはバランスが悪く中途半端な印象を持たざるを得ません。
しかし、『妖星ゴラス』では余分に感じられるこの場面は後の円谷プロによるウルトラ・シリーズと重要な関連を持つことになります。南極に設置された原子力ジェット・パルプによる地熱の上昇によって蘇った怪獣マグマは『ウルトラQ』の"トドラ"に、そしてマグマを迎撃するVTOL機(垂直離着陸機)は塗装を変更されて『ウルトラマン
』に登場する科学特捜隊の"ジェット・ビートル"へと流用されることになります。
[妖星ゴラス - ストーリー]
1979年、土星探検に向かった宇宙艇・隼号に地球の6千倍の質量を持つ赤色矮星が太陽系に接近中であるという情報が入る。"ゴラス"と名付けられた矮星に最も近い位置にいた隼号は予定を変更して直ちにゴラスに向かうが、想像以上のゴラスの引力に捕まってしまう。隼号はゴラスの引力から逃れることも叶わず、園田艇長(田崎潤)の指示のもとに最後の瞬間まで地球にゴラスのデータを送り続けて遭難する。ゴラスは物体を吸収して巨大化する妖星だった。
隼号から送られたデータにより"妖星ゴラス"が地球に衝突することが判明するが、あまりにも現実味の無い話に各国は具体的な対策を打とうとはしなかった。焦燥の感に駆られる科学者の河野(上原謙)と田沢(池部良)は、ある少年の「地球が逃げればいい」という言葉をヒントに南極に巨大な原子力ジェット・パルプを設置する"南極計画"を立案する。
奔走する田沢の熱弁は世界を動かし、地球の存亡を賭けた南極計画はスタート。原子力ジェット・パルプは急ピッチで建造され巨大なロケットと化した地球はゆっくりと動き出す。しかし、他の惑星をも吸収して更に巨大化した妖星ゴラスは地球から肉眼で見える程までに接近し、遂には月までも吸収して地球に迫っていた。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・本多猪四郎
特技監督・・・・・・・・・円谷英二
脚本・・・・・・・・・・・木村武
音楽・・・・・・・・・・・石井歓
田沢博士・・・・・・・・・池部良
園田智子・・・・・・・・・白川由美
鳳号乗員・金井達麿・・・・久保明
野村滝子・・・・・・・・・水野久美
鳳号・遠藤艇長・・・・・・平田昭彦
同・斎木副長・・・・・・・佐原健二
隼号艇長・園田雷蔵・・・・田崎潤
河野博士・・・・・・・・・上原謙
園田謙介・・・・・・・・・志村喬
(2006/10/02)
- by axis_009











comments
この映画面白いですよね。子供の頃にテレビ放送で見ました。その頃はウルトラマンとどちらが先か分かっていませんでしたが、ジェットビートルが出てきたのでビックリしました。
DVDが出たときにすぐに購入して見直して、子供の頃に見たときとは印象が少し違いましたが、やっぱり面白い映画でした。特撮シーンは最近のCG映像に比べるとかなり荒いですが、手作り感のある映像ってなんだか温かみがあって良いですね。
>azumaさん
>>手作り感のある映像ってなんだか温かみがあって良いですね。
同感です。この時代の特撮映画を観る時はリアリティよりも作り物としての面白さを楽しむ、というか。
どんなに素晴らしい特撮映像だったとしても、時代と共に古くなっちゃうのは当然ですし、現在のCG映像と較べて優劣を較べる気も無いですしね。^^♪
この映画は時代背景がそうなんでしょうか。何ともいえない高揚感があります。
「おいら宇宙のパイロット」はこの映画でしか使えない曲でしょう。「日本沈没」で使われていたら台無しですし(笑)
こんにちは!
>監督・本多猪四郎が自らの最高傑作と
そうなんですか! いぁ、そうでしょう!
そういうドラマパート、すっごく良かったです。
あの怪獣、トドラなんですねぇ。 なんかあったと思ったんだ。
普通に考えれば、宗教団体が邪魔に入ってロケットを破壊するとか、部品が耐えきれずに壊れるとか、そういう危機なんでしょうケド、怪獣が出てくるとは、さすが東宝特撮だと思いました。
一番最初にこの映画を観たのはテレビ放映しているのを偶然終盤から見たんですが、ジェット・ビートルは飛んでるし、怪獣は出てるし、「ウルトラマン」の再放送をしているのだと思って見ていた記憶があります。結局その時は、映画のタイトルも含め、どういう映画なのか分からずじまい。
全編を見ることが出来たのはLD発売後でしたが、その時はあの時の映画だとは分かっておらず、映画の後半になってに初めて「あの時に見た映画だ」と記憶が蘇ってきて疑問が解けた映画でした。
内容的には、正に奇想天外。「アルマゲドン」などの映画が大ヒットした後では設定的に珍しいものではなくなってしまいましたが、特撮映画を代表する作品だと思います。