緯度0大作戦 (昭和44年・1969)
![]() | 緯度0大作戦 本多猪四郎 宝田明 ジョセフ・コットン 東宝 2006-04-28 |
海底二万メートルに存在する奇跡の聖地<緯度0>!
神秘と未知の世界に展開する超科学戦!日米合作の超娯楽SF大作!
東宝、ドン・シャーププロによる日米合作映画。潜水艦ノーチラス号で有名なジュール・ベルヌの『海底二万哩(海底2万マイル)』(1954)、H.G.ウェルズ原作『ドクター・モローの島
』(1977)、海洋研究用原子力潜水艦"シービュー号"の登場する『地球の危機
』(1961年・その後1964年~68年にかけて『原子力潜水艦シービュー号 海底科学作戦』としてテレビシリーズ化。)などの流れを汲むSF海洋アドベンチャー。
日付変更線と赤道が交わる“緯度0”の海底に存在する楽園と奇怪でグロテスクなブラッドロック、そして襲い来る改造獣人などの冒険物語を中心に、それまでに東宝が積み重ねてきたスーパーメカ特撮技術の集大成といえるα(アルファ)号と黒鮫号の戦いを描いた空想科学特撮映画です。
元々は戦前の1940年代にラジオで放送された"Tales of Latitude Zero"の映画化を原作のテッド・シャーマンが1960年代になってドン・シャーププロに持込み、制作費を安く上げたい米側と映画低迷期に入り資金難であった東宝側の思惑が合致し日米合作での制作が決定した作品です。しかし、米側の資金調達が難航し、結局東宝側が全額負担した上、契約関連が不明瞭であった事とドン・シャーププロの倒産などを原因とする版権等契約絡みの問題で、人気がある作品にも拘らず長らくソフト(DVD、LD、ビデオ)が発売が出来ない状態にあった為に"幻の作品"となっていた映画です。(現在は2006.4月よりDVDで発売中。)
見所はなんと言っても東宝が得意とするスーパーメカ特撮。美術チーフ田中泰幸と美術助手の豊島睦がそれぞれ造型を担当した"α号"、敵の高性能武装潜水艦"黒鮫号"のデザインも素晴らしく、後に色々な作品でリスペクトされる事になる特撮シーンも名場面の宝庫。円谷英二の夢であった"空飛ぶ船"というアイディアも『海底軍艦』に続いてこの映画でも再現されています。
しかし、ドン・シャーププロの資金調達の失敗と制作費の殆どが日米の豪華な出演者のギャラに充てられた為か、本来東宝が得意とする筈の着ぐるみ登場シーン、緯度0やブラッドロックなどのセットが貧弱になっているところは残念なところ。
幻の作品であったが故にその評価が一人歩きしてしまっている作品であり、また2006年4月の初ソフト化の際も「遂にあの名作が…」的な紹介がされましたが、個人的には(特撮ファンならば楽しめるシーンが沢山有りますが)一般の映画ファンに対しては「特撮史上に残る必見の名作」とは言い難く、普通に面白い映画の1つ、という感覚で気軽に見ていただきたい作品です。
緯度0に残ることを希望した田代博士、マッソン博士を残して一人帰還を果たしたロートンを救助した船の船上で、マッケンジーとマリクが仲良くしているシーンは、緯度ゼロでの生活、α号と黒鮫号の対決、そしてマッケンジーとマリクの長年にもわたる戦いの日々が遭難したロートンの夢だったのか、それとも現実であったのか、観客を惑わせる仕掛けになっており、その後のSF作家、映像作家に多大な影響を与えた1960年代初期の名作SFドラマ『ミステリーゾーン(Twilight Zone)』にも通ずる秀逸なラストのオチとなっています。
(実は現実の世界と緯度0の存在する世界がパラレル・ワールドであるという設定。)
[緯度0大作戦 - ストーリー]
田代博士(宝田明)、マッソン博士(岡田真澄)、新聞記者のロートン(リチャード・ジェッケル)達は南太平洋で海底油田の調査中に海底火山の噴火に巻き込まれて遭難するが、国籍不明の原子力潜水艦α(アルファ)号に救助される。
α号のマッケンジー艦長(ジョセフ・コットン)は、世界各国から集まった科学者たちが政治に左右されること無く自由に研究に取り組むことが出来る理想郷、人工太陽が輝く海底の楽園"緯度0"に招待した。
しかし、マッケンジーを生涯の敵と狙う宿敵のマッド・サイエンティスト、マリク(シーザー・ロメロ)はマッケンジーを誘き寄せる囮として利用する為に岡田博士(中村哲)と娘の鶴子(中山麻里)を拉致。マッケンジー達は罠と知りながら岡田博士父娘の救出のためα号でマリクと改造獣人(グリフォン、大ねずみ、コウモリ人間他)、そして敵艦"黒鮫号"の待つ敵の巣窟ブラッドロックへ向かった。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・田中友幸、ドン・シャープ
監督・・・・・・・・・・・本多猪四郎
特技監督・・・・・・・円谷英二
脚本・・・・・・・・・・・関沢新一、テッド・シャードマン
音楽・・・・・・・・・・・伊福部昭
クレイグ・マッケンジー(アルファ号艦長)・・・ジョセフ・コットン
田代健(海洋学者)・・・・・・宝田明
ジュール・マッソン(地質学者)・・・・岡田真澄
ペリー・ロートン(新聞記者)・・・・・・リチャード・ジャッケル
甲保(アルファ号乗員)・・・・・・・・・・大前鈞
アン・バートン・・・・・リンダ・ヘインズ
岡田博士・・・・・・・・中村哲
岡田鶴子・・・・・・・・中山麻理
姿博士・・・・・・・・・・平田昭彦
マリク・・・・・・・・・・・シーザー・ロメロ
ルクレチア(マリクの妻)・・・・パトリシア・メディナ
黒い蛾・・・・・・・・・・黒木ひかる
陳(黒鮫号乗員)・・・黒部進
(日本語版吹替え)
マッケンジーの声・・・納谷悟朗
マリクの声・・・・・・・・冨田耕生
![]() | 緯度0大作戦 コレクターズBOX 本多猪四郎 宝田明 ジョセフ・コットン 東宝 2006-04-28 |
(2006/10/17)
- by axis_009












comments
版権問題で商品化は難しいと聞いていたので、もう見ることが出来ないのかと思っていましたが、今はDVD化されてるんですね。^^
TVの「マイティジャック」もDVD化されているみたいですね。円谷特撮は海底軍艦、緯度0、マイティージャックなどスーパーメカの基地での発進シーンと海中から飛び立つシーンはどれも素晴らしい出来だと思います。(殆どストーリーは記憶に無いのですが、そういう場面だけはかなり印象に残ってます。)マイティージャックは富田勲の壮大なオープニング・テーマ曲も良かったです。
マイティジャックのテーマは私も好きです。富田勲だとジャングル大帝のオープニングも良かったですね。(初期の歌詞の無い頃の方)
"緯度0"は私も長い間見ることが出来なくて、古い記憶に残ってるだけだったんですが、DVD化されてやっと見直すことが出来ました。^^♪
>スーパーメカの基地での発進シーン
映画だけでなく、ウルトラ・シリーズなども同様ですが、円谷特撮の見所の一つになってますね。最初の頃はサンダーバードなどの影響が大きかったのでしょうが、円谷ならではの名場面を幾つも作り上げていると思います。
こんにちは!
この映画、「幻」だったんですね。
道理で、見たことないわけだ、、、
着ぐるみは、、、微笑ましかったです、、、
グリフォン、巨大ネズミ、人間コウモリの緩い着ぐるみが妙に気になります。東宝特撮映画らしからぬと言うか。ゴジラが一段落した時期とも、多少なりとも関わりがあるのでしょうね。初めて見た映像はもとより、付属の解説書も充実しており、撮影秘話が貴重。もちろん、宝田明さんのオーディオコメンタリーもグッド。
設定自体は海洋冒険物としてワクワクさせられるような娯楽作品ですが、東宝特撮であの気ぐるみは無いだろう、とか、明らかに手を抜かれているような場面が多いのが興ざめでした。
>(特撮ファンならば楽しめるシーンが沢山有りますが)一般の映画ファンに対しては「特撮史上に残る必見の名作」とは言い難く、、普通に面白い映画の1つ
僕も同感です。ビデオを売るためには煽り文句も必要だけど、長くビデオ化されなかった「幻」ではあっても必見の「名作」という訳ではないですね。