大怪獣バラン (昭和33年・1958)
![]() | 大怪獣バラン 野村浩三 黒沼健 本多猪四郎 東宝 2005-01-21 |
秘境の守護神・婆羅陀巍(バラダギ)山神の謎とは何か?ゴジラよりも強く、ラドンよりも速く、陸海空を暴れまわる魔のバラン、遂に帝都を襲う!これこそ空想怪獣映画の決定版!
海外でのテレビ放映用として受注、製作された特撮怪獣映画ですが、製作途中で米テレビ版での製作がキャンセルされた為、結局劇場公開用映画に変更されています。その為、カラー作品である『空の大怪獣ラドン』(昭和31年・1956)より後発にも拘らず、当初のテレビ放映用での製作という事情からモノクロ作品になっています。
ムササビのように羽根を広げて飛ぶ伝説の大怪獣バランと東宝ならではの特撮映像に加えて自衛隊の実写映像なども使用した近代兵器の攻防戦が見所。
秘境に奉られた神秘的な"婆羅陀巍"伝説の恐怖を描いた怪奇秘境物テイストの前半部分と"バラン"と"防衛隊"との攻防戦を中心に描いた後半部分とストーリー的にはバランス良く構成されていますが、演出面でのメリハリに欠けており、決して傑作怪獣映画と言える作品に仕上がっていないのは残念なところです。しかし、山々に囲まれた秘境の湖、婆羅陀巍山神社のセットなど、映像&美術的には「さすが東宝の特撮映像」と呼べる部分が多々あり、特撮怪獣映画ファンなら一度は観ておいて損の無い作品ではあります。
より強力な破壊力、そして華麗に空を飛ぶという"ゴジラ"、"ラドン"を超える存在として産み出された"バラン"は造型も素晴らしく、陸海空での戦いに秀でているという設定もあり、ゴジラ、ラドン、モスラと並ぶ人気怪獣となる可能性を秘めた怪獣でしたが、残念ながら映画自体の出来が悪かった為か、単独主演映画を持つ怪獣の中では最も一般的な知名度は低く、熱心な怪獣ファンにのみ評価される怪獣となってしまいました。これだけ魅力的な怪獣を創造しておきながら、この程度の作品に終わらせてしまったというのは、元々は海外でのテレビ放映用としての製作、発注側からのキャンセルなどで低予算で完成させなければならなかったという事情があるにせよ、あえていうなら本多・円谷・伊福部トリオの黄金期にあって数少ない失敗作の1つです。
最大の見所は冒頭にも書いたように防衛隊が行った山中でのバランへの総攻撃シーン、そして大きく作りすぎてしまったと言われる精巧な羽田空港の巨大なミニチュア・セット上で行われるバランの上陸、そして防衛との攻防戦シーンです。
[大怪獣バラン - ストーリー]
東北の北上川上流にある日本のチベットと呼ばれる秘境でシベリアにしか生息しない筈の蝶、"アカボシウスバシロチョウ"が発見され、杉本生物学研究所所員が調査に向かう。しかし研究所員2名が乗っていた車ごと潰されるという謎の死を遂げ、研究所員の魚崎健一(野村浩三)と犠牲者の妹で新聞記者の由利子(園田あゆみ)は"婆羅陀巍の怒り"だと噂する地元の人間の声を耳にする。
2人は問題となる岩屋村の調査を開始。やがて婆羅陀巍山神社で奇怪な石像に祈りを捧げる村人達を発見、魚崎は「今こそ迷信を打ち破る時です。」と村人達の制止も聞かず聖域へと踏み込んで行く。何も起こらず村人達も迷信かと思い始めたとき、湖から巨大なトカゲ、1億8千年前の中世代の恐竜・バラノポーダーが出現する。
通称として"バラン"と呼ばれることになった怪獣は付近の村を壊滅させ、防衛隊はバランの都市部への進撃を抑えるため総攻撃を開始。しかし、バランはムササビの様に手足についた膜状の羽を広げて飛び立ち、何処かへと消える。そして、海中に隠れたバランは徐々に移動しながら、遂には帝都・東京の玄関口である羽田空港に突如として上陸した。。。。
【スタッフ&キャスト】
製作・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・本多猪四郎
特技監督・・・・・・・・・円谷英二
脚本・・・・・・・・・・・関沢新一
原案・・・・・・・・・・・黒沼健
音楽・・・・・・・・・・・伊福部昭
バラン・・・・・・・・・・中島春雄
魚崎健二・・・・・・・・・野村浩三
新庄由利子・・・・・・・・園田あゆみ
堀口元彦・・・・・・・・・松尾文人
新庄一郎・・・・・・・・・伊藤久哉
河田豊・・・・・・・・・・桐野洋雄
杉本博士・・・・・・・・・千田是也
馬島博士・・・・・・・・・村上冬樹
藤村博士・・・・・・・・・平田昭彦
防衛庁長官・・・・・・・・山田巳之助
草間一佐・・・・・・・・・草間璋夫
勝本三佐・・・・・・・・・土屋嘉男
艦長・・・・・・・・・・・田島義文
婆羅陀巍山神社・神主・・・・瀬良明
一作・・・・・・・・・・・山田彰
次郎・・・・・・・・・・・伊原徳
三吉・・・・・・・・・・・伊東隆
三吉・母親・・・・・・・・・本間文子
(2007/02/18)
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